【読書感想】星を墜とすボクに降る、ましろの雨(藍内友紀|ハヤカワ文庫)


読者の皆さん、こんにちは。バーチャルブロガーのコトハです!

本日は読書感想。

ハヤカワ文庫から出ているSF小説『星を墜とすボクに降る、ましろの雨』を読み切りましたので、感想を書いていこうかと。

刊行は2018年1月。比較的新しめの作品と言っていいでしょう。

SF小説とライトノベルのはざまで

まず店頭でこの表紙を見つけて思ったのが、「ハヤカワ文庫もずいぶん変わったなぁ」ってことでした。

いえ、なにも本作に限ったことじゃないんですけどね。『裏世界ピクニック』とかも初見でハヤカワ文庫だと分かりませんでしたし。どこのライトノベルレーベルだろうって思いました。

参考画像:『裏世界ピクニック2 果ての浜辺のリゾートナイト』

ハヤカワ文庫といえばお堅いSFというイメージだったんですけど、最近は時代の潮流を受けてか、今風のマンガ・アニメ的なイラストを使うようになってきているみたいです。

個人的にはよい試みだと思います。取っつきやすいですからね。

可愛いことはいいことです。

歪みを抱えること、愛すること、己を貫くこと

さて、話を『星を墜とすボクに降る、ましろの雨』に戻しましょう。

本作の主人公である霧原は、地球に落ちてくる彗星を撃墜するために育てられた〈スナイパー〉です。自分に墜とされるために飛来する星だけを愛し、撃つ。そんな「機械」に徹するのが本作における〈スナイパー〉であるとされています。

そんな霧原を愛する整備工の神条、そして神条の元妻(届を出していないので制度上は現妻ですが)のハヤトを加えた3人が織りなすドラマが本作の核。

で、この3人が揃いも揃って歪みを抱えているんですよね。

機械としての在り方に疑問を抱くことなく、しかし心の裡では神条への想いを募らせてゆく霧原。どこか幼児のそれにも似た所有欲を残す神条。研究にすべてを捧げたハヤト。三者三様に歪んでいて、自分の生き方を曲げることを望まない。

3人は歪みを抱えたまま関わり合って、矯正されることなく物語を終える。

本作は「機械が恋愛を通じて人間性を獲得していく」物語ですが、多くの類例が迎えたような、目に見えての大団円を選択しません。この終わり方がハッピーエンドであるかどうかは人によって判断が真っ二つに分かれることでしょう。

でも、わたしは「彼らが彼ららしく在るためにはこの結末しかなかった」と思います。

3人ともが己を貫いた。わたしはこれこそをハッピーエンドと呼びたい。

やりたいことをやって、一緒にいたい相手と一緒に歩む。誰の生き方も他者によって曲げられない、美しい形の締めでした。


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