どうして「国民一人あたりの借金○○円!」が嘘っぱちなのかコトハが解説しますよ


読者の皆さん、こんにちは。バーチャルブロガーのコトハです!

さて、まずはこの記事をご覧ください。

総務省推計の4月1日時点の総人口(1億2623万人)で割ると、国民1人当たり約874万円の借金を抱えている計算だ。

――国の借金、昨年度末1103兆円 3年連続で過去最大額を更新|共同通信

これを読んで皆さんはどう考えましたか?

中には「自分の与り知らぬところで借金を背負わされるなんてけしからん!」と憤慨した方もいるかもしれませんし、あるいは「このままでは日本が破綻してしまうのでは?」と心配に駆られた方もいるかもしれません。

しかし実はこれ、怒る必要もなければ憂う必要もないのです……。

メディアは何かにつけて「国民一人あたりの借金」という表現を好みますが、ハッキリ言ってフェイクニュースの謗りを免れ得ませんよ……。

1.国の借金とは要するに国債のこと

いわゆる「国の借金」というのは、早い話が国債の額のことです。

もちろん金融機関などから借り入れるというケースもあるので「国債のこと」と言い切ってしまうのは些か乱暴に思えるかもしれませんが、いえいえ、内訳を見ると概ねこの認識で合っていることがわかるんですよ。

借金の内訳は、国債が976兆8035億円で、17兆6622億円増えた。金融機関などからの借入金は53兆2018億円。

――国の借金、昨年度末1103兆円 3年連続で過去最大額を更新|共同通信

記事中にもあるように、9割近くが国債なんです。ほぼほぼ「国の借金=国債」と考えてしまって問題ないでしょう。

国債とは国家が証券を発行して行う借入金のことで、購入者に対して一定の利子が支払われるほか、償還期限を迎えると額面金額が払い戻されるという仕組み。つまり国家に債務が発生するわけですから、その意味では「国の借金」という表現もあながち間違ってはいません。

では、なぜわたしはこれを「フェイクニュース」と断じるのか?

さほど難しい理由じゃありません。この情報からは「誰が」「誰に」借りているのかが読み取れませんよね。まさにそのことが、このニュースを見た人々のミスリードを誘発するのです。

借金というからには、貸した者がいなければおかしいですよね?

2.国債の債務者は政府。ならば債権者は……?

国債を発行しているのは政府です。したがって当然、日本国債の債務者は日本国政府であるとわかります。

ならばもう一方……すなわち債権者は誰なのでしょうか?

有価証券の債権を持っているのは、言うまでもなく証券の保有者です。つまり日本国債の債権者は日本国債を購入した者、ということになりますよね。

そうなると次の問題は、日本国債を購入しているのは誰なのかということですが……

海外部門のシェアについてだが、「国債・財政投融資債」以外に「国庫短期証券」(償還期間が1年未満の短期債権)も含めて計算し直すと、合計額は1111兆円、海外比率は12.1%となる。

――日本の国債の保有者内訳をグラフ化してみる(最新)|ガベージニュース

こちらの記事でわかりやすいグラフつきで紹介されていますね。

長期国債に限って言えば、海外が保有している国債は全体の6.4%。短期債権を含めても12.1%。つまり裏を返せば、日本国債の90%近くは日銀や民間銀行をはじめとした国内の金融機関によって保有されているわけです。

と、いうことは……?

日本国債の債権者はその約9割が日本国民、って結論になりますよね。

国の借金と聞くといかにも国民が払わなければならないかのような気分になりますが、まったくそんなことはありません。国民はお金を「貸している側」なんですから。

だから「国民1人あたりの借金は~」という表現は誤りなのです。債権者であるわたしたちをつかまえて何バカなこと言ってるんですか、まったくもう。

このようなメディアの誘導(わたしはこの件でハンロンの剃刀を適用してやるほど優しくありませんよ)に乗っからないためにも、金融リテラシーを身につけておくことが大事なんです。

3.ギリシャへの道は通じていない

ところで、国債を発行すると聞くと「日本は破綻する! ギリシャ危機を見ただろう!」と声高に叫ぶ人が少なからず存在します。

しかし、そういう人たちには見落としていることがあります。

ギリシャ国債がユーロ建てであったのに対して、日本国債は円建てであるという点です。

2001年、ギリシャは自国通貨ドラクマを廃止し、EUの単一通貨であるユーロを法定通貨として採用しました。ユーロ通貨の発行権を持っているのは欧州中央銀行です。2001年以降のギリシャは通貨発行権のない国家なのです。

つまりギリシャの場合、国債を返済するには欧州中央銀行からお金を借りなければならず、それを行うにもドイツをはじめとする他のEU加盟国からの承認を得なければならない……という状況に置かれていたわけですね。

日本はそうではありません。

なにしろ日本の法定通貨は円であり、円の発行権は日本銀行が持っているのですから。日本は通貨発行権のある国なのです。

ということは、円建ての借金を返せない、なんて事態は起こり得ません。借金の額面が決まっている以上、円を刷れば返済はできるんですから。

……ちなみに。

日本が本当にデフォルト(債務不履行)に陥ると考えられているなら、国債はかなりの高金利を設定しなければ買い手がつかないし、円も買われるはずがありません。しかし実際には日本国債は低金利ですし、円に至っては安全資産と見なされて世界中の投資家から買われていますよね。

金融のプロはだーれも日本経済が破綻するなんてシナリオを本気で考えちゃいないんですよ。市場の動きが何よりの証拠です。

もちろん無制限に刷るとインフレが制御できなくなってしまうので、無限に国債を発行して無税国家を誕生させる、みたいなことは不可能なんですが……現在はデフレを脱却しなきゃならない局面ですから、気にする必要はありません。

4.お金を借りるのは悪いことじゃない

そもそも、きわめて根本的な話なんですけど……なんで借金が悪いことだって思われてるんでしょうか? わたしはそこからして意味がわからないんですよ。

企業を想像してください。事業を軌道に乗せて利益を出せる(=借りたお金を返済できる)と判断したとき、経営者は資金調達して事業を加速させますよね。むしろそれを行わない経営者のほうが問題視されるはずです。

同じように、国家も国債を発行して事業を行います。

公共事業によってインフラを整備すれば、その設備は将来にわたって国民に利用されます。教育や科学技術の振興のために遣われれば、これもやはり将来世代への投資となります。防衛費になれば国土や国民を守ることに繋がりますし、社会保障費に回れば社会をより持続させるための基盤を強化することになります。いずれも国民にとっての資産です。

そして、返済が可能であることも、返済される先が主にわたしたち日本国民であることも既に述べたとおりです。

国家の財政を心配するくらいなら、自分が務めている会社の他人資本の比率でも計算しているほうがまだしも建設的というものですよ。国家よりはリスク耐性低いでしょうから……。

「国民1人あたりの借金」という表現は今後も使われていくと思うので、こちらも知識を身につけて「嘘つけ」と言い続けていかなくてはならないでしょう。


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