6月24日は全世界的にUFOの日! 『イリヤの空、UFOの夏』を紹介します!


読者の皆さん、こんにちは。バーチャルブロガーのコトハです!

さて、6月24日ですよ6月24日。

皆さんは今日が何の日だか知っていますか?

「六月二十四日は、全世界的に、UFOの日だ」

――『イリヤの空、UFOの夏 その1』(著:秋山瑞人|電撃文庫)

というわけで、本日すなわち6月24日は全世界的にUFOの日なのです!

こんな日に書くべき記事は一つしかありません。SFライトノベルの金字塔、『イリヤの空、UFOの夏』の紹介に決まっています!

当ブログの運営責任者が若い頃に読んで多大な衝撃と影響を受けた小説です。最終巻の発売から15年、第一回の発表からは20年近くが経つ現在でも、根強く愛され語られている名作ですよ。

その1:『第三種接近遭遇』~『正しい原チャリの盗み方・前編』


イリヤの空、UFOの夏 その1 (電撃文庫)

「6月24日は全世界的にUFOの日」

新聞部部長・水前寺邦博の発言から浅羽直之の「UFOの夏」は始まった。当然のように夏休みはUFOが出るという裏山での張り込みに消費され、その最後の夜、浅羽はせめてもの想い出に学校のプールに忍び込んだ。驚いたことにプールには先客がいて、手に金属の球体を埋め込んだその少女は「伊里野可奈」と名乗った……。

おかしくて切なくて、どこか懐かしい……。ちょっと“変”な現代を舞台に、鬼才・秋山瑞人が描くボーイ・ミーツ・ガールストーリー、登場。

――『イリヤの空、UFOの夏 その1』(著:秋山瑞人|電撃文庫)

田舎の中学校に通う浅羽直之のクラスに女の子が転校してくる。ボーイミーツガールの王道とも言える滑り出しで、本作の物語はスタートを切ります。

転入生・伊里野加奈は寡黙であったりよく体調を崩したり、かと思いきや背後に軍隊の影がちらついていたりと、とにかくミステリアスな少女。エキセントリックな新聞部の先輩・水前寺やクラスメイトの晶穂を巻き込みながら、浅羽は伊里野とともに夏の日々を過ごしていく……といった感じの内容です。

まだまだ導入部ながらも、この時点で既にUFOなどのSF(オカルト?)要素や基地関係のミリタリー要素がちらついており、作品全体をつらぬく空気を要所要所で引き締めています。

生々しく描写される登場人物たちが織りなす日常と、裏に隠れた不穏な何か。その案配が絶妙で引き込まれます。

その2:『正しい原チャリの盗み方・後編』~『十八時四十七分三十二秒・後編』


イリヤの空、UFOの夏 その2 (電撃文庫)

浅羽直之と伊里野加奈の初めてのデート。それを尾行する者が、一人、二人、三人……当然のことながらただですむわけが無く、実際に“ただではないこと”が起こり――『正しい原チャリの盗み方・後編』。

文化祭といえばカップルで踊る最後のダンス! というわけで園原中学の大騒動文化祭と秋山流“恋の鞘当て”を描いた『十八時四十七分三十二秒・前後編』。

以上、「電撃hp」に大好評連載された三編に書き下ろし番外編『死体を洗え』を加えたボーイ・ミーツ・ガールストーリー第2弾。鬼才・秋山瑞人が贈る少年と少女と夏とUFOの物語は始まったばかりです――。

――『イリヤの空、UFOの夏 その2』(著:秋山瑞人|電撃文庫)

学園モノとしての性格が最も強いのがこの巻です。

盗んだ原チャリで走り出す……のは置いといて、学園祭ですよ、学園祭。

泊まり込みで出し物の準備をしたり、当日には他の出し物を回りながらクラスメイトとバカをやったり。これでもかと言わんばかりの密度で「青春」が詰め込まれています。

晶穂の浅羽に対する想いが克明に描かれているのも見所ですね。とはいえやっぱりその、ボーイミーツガールにおける既知のクラスメイトということで、損な役回りではあるんですけど……。

本巻のキラーショットと呼べるのは何と言ってもクライマックスの「マイム・マイム」でしょう。山の頂上の草むら、夕暮れの空を舞う「UFO」。視覚に訴えるシーンを文章で鮮やかに表現する手腕は圧巻です。

その3:『無銭飲食列伝』~『水前寺応答せよ・後編』


イリヤの空、UFOの夏 その3 (電撃文庫)

浅羽を巡る恋の三角関係が進行中、ということで、ついに伊里野と晶穂の正面切ったバトルが発生! 最終決戦の場となった「鉄人屋」では……! 血と涙が吹き荒れる『無銭飲食列伝』。

突然、園原基地付近で起こった爆発。北からの攻撃、輸送機の事故、UFOの墜落とさまざまな憶測が飛び交う中、水前寺はひとり、爆発事件の取材に向かった……緊迫の『水前寺応答せよ・前後編』。

水前寺テーマが「超能力は果たして実在するか」であった頃、つまり浅羽がまだ一年生のころを描いた『番外編・ESPの冬』。

以上、「電撃hp」に大好評連載された四編を収録したボーイ・ミーツ・ガールストーリー第3弾!

――『イリヤの空、UFOの夏 その3』(著:秋山瑞人|電撃文庫)

さて、ターニングポイントとなる巻です。

文庫本2冊ぶんの尺を使って、本作は丹念に「平凡な中学生の日常」を積み上げてきました。園原基地の大人たちの動きからキナ臭い何かが見え隠れこそするものの、概ね平穏な、それこそわたしたちがかつて通ってきたような日常であったと言えるでしょう。

しかしそんな日常は、園原基地の近くで起こった爆発事件をきっかけに崩れ去ります。

クラスメイトたちは次々と疎開し、大人たちは頼れず、水前寺は戻らない。残された浅羽は伊里野のためにある決断をするのですが……。

起承転結の「転」のお手本ではないでしょうか。秋山瑞人はスロースターターと言われがちな作家ですが、序盤~中盤を執拗なほど丁寧に進めるからこそ急変の瞬間が光るわけです。

その4:『夏休みふたたび・前編』~『南の島』


イリヤの空、UFOの夏 その4 (電撃文庫)

伊里野と一緒に逃げ出した浅羽。二人の前にはかすかな幸せとその幸せを圧倒する様々な困難が待ち受けていた。次第に破壊されていく伊里野を連れ、疲弊した浅羽が最後にたどり着いた場所は……! 逃避行の顛末を描いた『夏休みふたたび 前・後編』と『最後の道』。

榎本によって明かされる様々な謎。伊里野は浅羽の目の前から姿を消し、そしてその代償のように平穏な日々が戻ってきた……かに見えた。だが……! 感動の最終話『南の島』。

以上、「電撃hp」に大好評掲載された四編に文庫書き下ろしのエピローグを加えて、ついに伊里野と浅羽の夏が終わる。ボーイ・ミーツ・ガールストーリー、完結!

――『イリヤの空、UFOの夏 その4』(著:秋山瑞人|電撃文庫)

浅羽と伊里野の逃避行、そして夏の終わりを綴った最終巻。伊里野が抱える秘密とは何か、大人たちが何を隠してきたのか。謎が一気に明らかになります。

まあ、その、とりあえず……読め

15年前の本にネタバレも何もないだろうとは思うんですが、こればかりはもうそれしか言葉が出てきません。読んでわたしと一緒に渇いてください。

余談ですが、ウチの運営責任者スガワラはこの小説に触れてから「共通の脅威を前にして人類が一つにまとまる」という筋書きの物語をまじめに読んだり書いたりできなくなったんだとか……。

総評:SFライトノベルのオールタイム・ベスト!

ここまでいろいろと書き連ねてきましたが、この『イリヤの空、UFOの夏』で最も特筆すべきはシナリオでもキャラクターでもなく(無論それらもハイレベルではあるのですが)、著者である秋山瑞人の鬼のような文章力にあります。

夜のプールの鏡めいた水面。絶えず聞こえ続けるセミの鳴き声。中学校の教室の喧噪。スクーターで風を切る感触。学園祭の熱気。戦闘機のアフターバーナーの爆音。中華料理店の油臭さ。何を考えているのかもわからない猫の仕草。夕暮れの空の色と潮の匂い……。

ひとつひとつの描写が濃密なんですよね。文章を読んでいるだけで五感が刺激され、情景が自然と浮かんできます。本作を読むときにいちいち想像力を働かせる必要はないとすら思います。

そんな極上の文章で紡がれるストーリーが読む者の心を抉り、いつ終わるとも知れない夏に置き去りにする。『イリヤの空、UFOの夏』とはそういう小説です。

ちなみに、本作はOVAとしてアニメ化もされました。30分✕6話と厳しめの尺だったためいろいろ惜しい点は目につきましたが、『十八時四十七分三十二秒』の演出だけでも視聴する価値はあるでしょう。


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